CASE Shinjukuの“日本公庫DAY”とは?―融資担当者にインタビュー

シェアオフィス・コワーキングスペースCASE Shinjukuでは、メンバーの方を対象に個別融資相談会「日本公庫DAY」を毎月第2、第4木曜日に定期開催をしています。日本政策金融公庫(以下、日本公庫)新宿支店の融資担当者に、CASE Shinjukuまでお越しいただき、リラックスした環境で個別の相談ができます。

事業において「情報を知っているか、知らないか」ということは、その先を大きく左右します。融資に関する情報をお届けし、創業や事業を展開する上で、資金調達の選択肢として利活用してもらおうと開催しています。

今回は「日本公庫DAY」を担当する日本公庫新宿支店融資第二課の東谷さんと上堀内さんに、相談会の目的や実際の雰囲気などについてお話を伺いました。

日本政策金融公庫
民間金融機関が行う金融を補完し、事業に取り組む方々などを支援する政策金融機関。2008年に発足し、3つの事業のうち「国民生活事業」において小規模事業者の事業資金融資などを行う。「国民生活事業」の2024年度末の融資先数は115万先となっている。
日本公庫の創業・スタートアップ支援
営業実績が乏しいなどの理由により資金調達が困難な場合が少なくない創業前及び創業後間もない方に対して積極的に融資を行い、さらに創業後の資金調達や販路拡大、創業前のアイデアの整理段階での相談も受ける。
日本公庫総合研究所が実施した「2024年度新規開業実態調査」によると、創業時の平均年齢は43.6歳と30代から40代が全体の約7割を占めるが、支店等が行う相談会には年齢、性別問わず、幅広い層からの参加がある。




日本政策金融公庫が開催する相談会の目的

― 各支店やビジネスサポートプラザなどでも相談を受けられています。まず相談会の開催目的について教えてください。

上堀内さん:これから創業される方や創業間もない方を中心に対象にしています。創業時は資金調達で苦労される方が多いので、資金面でご支援につながる相談をさせていただくのを目的としています。資金調達だけではなく、販路拡大に苦労されている方も多いので、相談会を通じて皆さんのお困りごとの解決に役立つ情報提供も行っています。

― すぐにお金を借りたい方だけでなく、今後のために日本公庫の融資の概要が知りたいという方でも相談を受けられるんですよね。

東谷さん:そうですね。過去のお客さまの中には、最初に相談会にお越しいただいてから、1年後に再度お話をいただき、融資が実現したという例もあります。やはりまずは、融資や日本公庫がどのようなものか知ってもらい、その先において融資につながればと思っています。

上堀内さん:例えば、創業予定地の物件を契約してから融資のお申込に来ていただいても、ご希望に沿えないこともあるので、前もって相談してもらいたいですね。

CASE Shinjukuの個別相談会「日本公庫DAY」の特徴

― 「日本公庫DAY」の特徴はどんなところですか。

東谷さん:金融機関の窓口は敷居が高いと感じる方もいるかもしれませんが、CASEのリラックスした環境で相談ができるのが特徴だと思います。相談者の事業や相談内容を把握されているCASEの運営者の方にもご希望に応じて同席していただいているので、相談者の方は安心してご相談ができているかなと思います。

上堀内さん:「日本公庫DAY」では、さまざまな業種の方がいらっしゃる印象です。融資のお申込後の面談で、私たちがお客さまの事業内容やビジネスモデルを正確に理解するのに時間がかかることもあります。事前に相談会でビジネスモデルをお伺いできれば、面談当日はポイントを絞ったお話ができるので、こちらとしてもとてもありがたい機会です。

東谷さん:そうですね。IT系のビジネスの方のご相談が多いという印象です。IT系のビジネスは詳細を把握することが難しい面がありますが、ピッチ資料や事業概要などご用意いただいた資料で説明をいただき、こちらからは率直に質問をさせていただくというやりとりで最初の理解が進みます。

― 判断が難しそうな相談でも、改善点の指摘や具体的なKPIの提案などをいただくことで、事業計画がブラッシュアップされ融資につながるという事例もありました。いきなり日本公庫に融資申込みをするのではなく、ご担当者に直接相談ができることで今はまだそのタイミングではないという判断もできます。そういう点で、すごくありがたいと思っています。相談会ではどういう質問が多いですか。

上堀内さん:具体的な融資のご相談の場合は、基本的には事業計画書の内容に沿って質問を受けますが、特に収支見通しについて、その妥当性についてしっかりお話をさせていただくことが多いですね。

― 見通しの数字については、事業への期待を最大限反映した方がいいのか、堅実にした方がいいのか悩まれる方は多いので、それを率直に伺える機会は貴重だと思っています。見通しの数字は融資審査でも重要なところですよね。

東谷さん:そうですね。事業計画書の売上予測などの数字はどういう根拠に基づいているのかというところはお伺いしています。業種によって予測の立て方はいろいろあると思うのですが、これまでの実績やお勤めされてきた経験則に基づくものであれば、そこをしっかりと数字に落とし込めるようにアドバイスさせていただいています。

― 創業の際、その事業を立ち上げ継続するために必要な経験がどれだけあるかということは大事なポイントですね。

「日本公庫DAY」で聞かれる主な質問
・どのような融資制度があるのか
・どのくらい借りることができるのか
・金利や返済期間はどのくらいになるのか
・創業計画書、事業計画書はどのように書けばいいのか
・融資の審査は、どのようなところを確認されるのか     

相談会までの準備について

― 相談会のタイミングで用意しておくといいものはありますか。

東谷さん:簡単で構いませんので、ご自身で作成された創業計画書(事業計画書)があると、スムーズにお話を進めることができます。創業計画書(事業計画書)の作成方法に関するご相談も可能です。もちろんそういうものがなくても、ざっくばらんにお話をお伺いできるかなと思います。

相談会にいらっしゃる方は、融資申込みをご希望の方、事業計画のブラッシュアップや壁打ちをしたい方、そもそも日本公庫がどういった金融機関なのか知りたい方などさまざまです。このように何かしらの目的を持ってご参加いただけるとより価値のある時間になるのではないかと思います。

― 融資を受けて創業を目指す人が日頃から気をつける点があれば教えてください。

上堀内さん:創業の場合、これまでの事業の実績がないので、創業計画書が経営者としての能力や計画の妥当性を示す情報源となります。「形式」ではなく「中身」が重要となるため、これまでの経験から何が得意なのか、取扱商品・サービスの優位性は何なのかなどを日頃から意識していただけるといいと思います。

また創業計画書の中の資金計画のところで、自己資金をどれくらい準備できているか確認しますが、自己資金が計画的に蓄積できているかは重要なポイントになります。自己資金が多ければ借入負担を軽減し、余裕のある資金繰りができるため、自己資金の多さは「綿密な創業準備の証」であり、計画性や事業意欲が伝わります。

融資の審査に向けて、相談会でアドバイスしている重要なポイント
・創業計画書の重要性、作り方を中心にお伝えしています。
・創業企業は既存企業に比べて過去の情報が少ないため、創業計画書が経営者としての能力や、計画の的確さを把握する情報源になります。創業計画書は、「形式」ではなく「中身」が重要です。
・資金調達ができても事業が頓挫しては元も子もありません。創業計画書は「事業を成功させるため」「協力者と自分自身のため」に作成するものであることをお伝えしています。加えて、事業の成功率を高めるための「小さく生んで大きく育てる」という発想も重要であることを伝えています。

印象的だった相談事例

― 実際の相談の中で印象に残ったケースはありますか。

上堀内さん:輸出、輸入時に欠かせない船舶の利用貨物運送業を創業された方が印象的です。珍しい業種を営む方の場合、私たちもなかなか理解が進まないことがあります。相談会で「説明が難しい事業ですね」とお伝えしたところ、後日、事業に関する実際の請求書や領収書をお持ちいただき説明をしていただきました。それにより、私も理解が深まり、迅速な融資判断ができ、満額融資につながった事例がありました。

東谷さん:融資のご面談の後、次にお目にかかるのは追加融資のご相談ということが多いです。その中で先ほどもお話しした、この相談会で相談を受け、1年後に実際に融資に至ったというお客さまは印象深いです。1年たってまた相談してもらえたこともそうですし、日本公庫として頼りにしてもらえたということも本当に良かったと思います。

相談会ですぐにお金を借りるという判断にならなくても、どこかの機会で日本公庫のことを思い出して、ご相談をいただいたり、融資のお申込いただけたりすると、本当にありがたいですね。

― 融資担当者として相談会で大事にしていることはありますか。

上堀内さん:リラックスして本音ベースでお話しいただけるような雰囲気作りや、なるべく専門用語を使わずに、どなたでもご理解いただけるように説明することを心がけています。

東谷さん:事業が上手くいくためにはどうすればいいかという目線でお話をお伺いするように心がけています。金融機関として融資の判断はするのですが、前提としては応援したい。もちろん、本当に厳しければそこははっきりとお伝えすべきだと思いますが、ブラッシュアップできる点があればしっかりとお伝えして、何かしら価値のある時間になるようにしています。

― ありがたいです。同席させていただいていて時々感じることですが、ご自分を過小評価している方が多いんです。隣で聞いていて「こんな資格をお持ちですよね」とか「こんな実務経験がありましたよね」と補足させていただくことがあります。ご自分の経歴を棚卸しして不足なく伝えることも大事だと思います。

日本公庫DAYに参加される方へのメッセージ

― 今後、日本公庫DAYに参加される方にメッセージをお願いします。

東谷さん:お気軽にご相談いただければと思います。相談会に参加したから融資を申し込まなければいけないということはないので、創業や事業の発展に向けて、相談会をご活用いただければと思います。

上堀内さん:本相談会を通じて、皆さまそれぞれの創業計画に合わせて、ご融資が役に立つのか、必要があるのかということをご認識いただくきっかけになると幸いです。皆さまとお会いできますことを楽しみにしております。

思いつきで創業する方は少ないと思います。そして、創業することによって実現したいことがあると思います。私たちは皆さまの熱い想いを理解できるよう心がけていますので、相談会ではざっくばらんにお話をいただけると嬉しいです。

ー 東谷さん、上堀内さん、ありがとうございました。引き続き「日本公庫DAY」をよろしくお願いいたします。

融資申込時の必要書類の書式、参考資料等

日本政策金融公庫の「創業計画書」の書式はこちらからダウンロードできます。
業種別の「創業計画書記入例」などの参考資料等も掲載されています。
CASE Shinjuku では、メンバーの皆さまを対象に創業計画書の書き方、考え方などのご相談もお受けしています。

毎月第2、第4木曜日に定期開催する個別相談会「日本公庫DAY」を是非、ご活用ください。

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