新宿区高田馬場にあるシェアオフィス・コワーキングスペースCASE Shinjukuの森下です。
CASE Shinjukuは東京都が実施するインキュベーション施設運営計画認定事業の認定を受けた東京都認定インキュベーション施設です。実は、これまで「インキュベーション」「創業支援」などという言葉が前面にでないかたちで運営してきました、2017年1月より同認定施設として運営することになったことを契機に、私たちでお役に立てることは、メンバーの皆さまに対して、しっかりとご案内して、ご提供していこうと考えています。
今日は、東京都認定インキュベーション施設としてご提供できることの一つとして、定期的に開催している、融資相談会「日本公庫DAY」についてご案内しますね。
この相談会は、日本政策金融公庫 新宿支店様にご協力いただき、融資第二課のご担当者に月2回(第2、第4木曜日)にCASE Shinjukuまでお越しいただき、個別の相談に応じていただくというものです。金融機関の窓口というのは、最初は敷居が高いものです。この相談会では、CASE Shinjukuの会議室で個別に相談をすることができますから、リラックスした環境でお話をしていただくことができます。また必要があれば、私なども間に入って、より現実みのある有意義な相談になるよう心がけています。
ちなみに日本政策金融公庫の日本は「にほん」ではなく、「にっぽん」が正しいとのことです。皆さんご注意くださいね。
融資の相談会「日本公庫DAY」をやっている理由
なんでもそうですが、特に事業において「知っているか、知らないか」ということは、その先を大きく左右します。「知らなかった」ことよって大きく差がついたり、致命的な失敗に結びついてしまうこともあります。
若い経営者の皆さんにとって、「融資」による資金調達は、馴染みの薄いものらしく、と言うか、そもそも眼中にないという方が多いように感じます。これには縦割りで複数の制度が存在していることや、そもそも「お金を借りる」ということに対する理解と認識の問題などがあるように思います。
シェアオフィスやコワーキングスペースの運営をしていると、しばしばメンバーの皆さまからこんな声を聞きます。
・IT系は融資は受けられないと思っていました
・担保がなければ融資は受けられないですよね
・個人保証は絶対にいやだ
・公的な融資制度があるんですか?
・お金に困ったら、ビジネスローンで借りるしかないと思ってました
など
そんな皆さんの声を聞いて、私たちは必要な情報がちゃんと届いていないような気がしていました。融資に関する情報を皆さんに届けることで、メンバーの皆さんのビジネスが少しでも前進するきっかけづくりができるのではないかと考えました。
そこで、私たちが公的な創業支援の業務に長年従事している中でお付き合いいただいている日本政策金融公庫 新宿支店さんにご協力いただき、メンバーの方などを対象に定期的に融資相談会「日本公庫DAY」を行うことにしました。金融機関のご担当者と個別に話をすることで、事業を進めていくうえで「融資という選択肢もある」ということを認識していただくだけでも価値があると考えています。
融資のどのようなことが具体的に相談できるのか
融資に関することならなんでも聞いていただける相談会ですが、主に多いのは下記のような内容です。
・どのような融資制度があるのか
・いくらくらい借りることができるのか
・金利や返済期間はどのくらいになるのか
・事業計画書はどのように書けば良いのか
・融資の審査は、どのようなところを見られるのか
・融資を申し込んでから口座に入金されるまで、どのくらいの期間がかかるのか
融資を受ける、受けないは、経営的判断です。ただ、今の自分は、いくら融資が受けられるのかを知っておくことは、事業上の選択肢を持っておくという意味で大事なことです。
素朴な疑問から、融資申し込みを前提とした相談まで、幅広に対応いただいていますので、ぜひお気軽にご活用ください。
日本政策金融公庫 新宿支店の鈴木さんに話を聞いてみた
それでは、ここで「日本公庫DAY」でいつも相談に対応していただいている日本政策金融公庫 新宿支店の鈴木雪丸さんにお話を伺ってみたいと思います。
Q1.日本政策金融公庫って、どのような金融機関ですか
A1.日本政策金融公庫は、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫を前身とする100%政府出資の政策金融機関です。国の政策のもと、民間金融機関の補完を旨としており、私の所属する国民生活事業では、事業資金はもちろん、教育ローンや恩給・共済年金担保貸付等国民生活に密着した多様な融資を取り扱っております。
Q2.日本政策金融公庫(国民生活事業)の融資先には、どのような事業者が多いのでしょうか
A2.私の所属する国民生活事業においては、融資先数は88万企業にのぼり、その約9割が従業者9人以下の小規模事業者となっています。また、個人・法人別では個人企業が約半数となっています。
Q3.ずばり融資で審査されるポイントは、どのようなことでしょうか
A3.様々なポイントがありますが、創業であれば主に次の3点が挙げられると思います。「事業主の経歴・能力・人柄」「事業計画書の内容」「自己資金の額」の3点です。ただしこれは、「高難度資格がないとノウハウを認められない」「完璧な事業計画書が必要」「自己資金が豊富になくてはならない」といったわけではありません。創業に向けた「熱意」がより現れるのがこの3点であると考えているからです。コツコツと創業に向けて資金を蓄積してこられたり、試行錯誤しながら収支予測を立てたりと、入念な準備をされているお客様は、事業計画書の内容をご説明いただく際に、「熱意」が感じられるものです。
Q4.地域や地域の金融機関と連携されていると聞いたのですが、具体的にどのようなことでしょうか
A4.毎月2回「CASE Shinjuku」で開催させていただいている「日本公庫DAY」をはじめ、商工会議所等関係団体様との共催での相談会開催や、金融機関様との協調融資商品の創設・運用等、幅広く連携をさせていただいております。「日本公庫DAY」にご参加いただいたお客様に対しても、協調融資の形でご支援させていただいたケースは多数あります。
Q5.鈴木さんが日本政策金融公庫に就職することを決めた理由は何ですか?
A5.大学時代のゼミ活動において、地域社会を支える事業者様の存在の重要性を実感しました。地域社会を支える中小企業をスタートアップ期からサポートできる日本公庫国民生活事業の仕事に魅力を感じ、やりがいを持って働けると感じたのが就職を決めた理由です。
色々とお話を伺わせていただき、ありがとうございました。いつも実務で融資案件に携わられている鈴木さんに来ていただくことで、相談されたの方の満足度も高い相談会となっています。
どのようにご活用いただきたいか
最後に、この相談会の目的は「あくまでも融資について知っていただく」ということです。メンバーの皆さまそれぞれの事業規模や現在の状況、未来のあるべき姿のイメージに合わせて、融資というものが役に立つのか、必要があるのかということを認識いただくきっかけにしていただきたいのです。決して、すべての方に融資をお勧めするものではありません。
融資はあくまでも資金政策の一つです。事業を展開する上で、機能するお金を調達することを目的として選択肢の一つとしてお考えいただくための相談会です。そのようにご活用いただけると幸いです。
今回は日本政策金融公庫 新宿支店のご協力で、CASE Shinjukuで実施している融資相談会「日本公庫DAY」についてのご紹介でした。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※ご案内しました融資相談会「日本公庫DAY」、原則、CASE Shinjuku メンバー(利用者)の方を対象としています。