日本公庫で創業融資を受けるメリットと押さえておきたいポイント


コワーキングスペースCASE Shinjukuでは東京都認定インキュベーション施設として、メンバーの方のお役に立てるよう日本政策金融公庫新宿支店にご協力を頂き、「個別融資相談会」を行っています。

私たちが実際に関わった事例などをもとに、日本政策金融公庫で創業融資を受けるメリットと押さえておきたいポイントをご紹介します。

これから創業を目指す方だけでなく、創業して間もない方も是非、最後までお読みください。

日本政策金融公庫とは?

日本政策金融公庫(以下、日本公庫)は2008年に3つの政府系金融機関が統合し、発足しました。民間金融機関がカバーできない資金需要を補完する役割を担い、個人や中小企業、農林水産業の資金調達を支援しています。

「国民生活事業」「中小企業事業」「農林水産事業」の3つの事業からなり、「国民生活事業」が創業支援や小口の事業資金融資などを行っています。

日本公庫では「国民生活事業」だけでも、2020年度末時点で約117万の企業や個人に対して融資を行っています。国内すべての信用金庫が約119万先、銀行が約200万先(2020年9月末)ですので、日本公庫の豊富な融資実績がうかがえます。

日本公庫で融資を受けるメリット

創業時に利用できる融資制度はいくつかありますが、その中でも日本公庫で創業融資を受けるメリットをまとめました。

融資決定までが早い

日本公庫の創業融資は、融資申込から決定までの早さが特徴の一つです。私たちの関わった事例では申請から最短2週間ほどで、融資決定に至ったケースもありました。

他の公的な融資制度では、申込から決定までに1カ月半から2カ月程度かかることが多いです。場合によっては2カ月半というものもあります。日本公庫のサイトでは「平均的には、3週間程度です。ただし、ご融資の条件などによっては、時間がかかる場合もあります」と書かれています。

融資実行までに必要な日数はケース・バイ・ケースです。必ずこの期間で決定される訳ではありませんが、ご参考ください。

許認可業種では、許可書は後から提出することもできる

創業する業種によっては許認可が必要です。例えば飲食業の場合、店舗の完成後に保健所の検査があり、営業許可証が発行されるという流れですが、店舗取得費や内装工事費などで許認可を取得するまでにまとまった資金が必要です。

日本公庫の創業融資では、融資実行後に許認可証を提出すれば良いと認められる場合があります。店舗や事務所を構えた後に許認可がおりる業種では、イニシャルコストを自己資金だけで賄うのは限界があります。日本公庫では許認可取得に必要な資金も調達することができます。

一方、その他の創業時に利用できる公的創業融資では、許認可証を提出してからでなければ融資が実行されないものがほとんどです。許認可取得までにかかるイニシャルコストを自己資金でまかなう、または融資実行まで支払いを待ってもらうなどの工夫が必要です。

公庫から融資を受けているという信用、協調融資も積極的

政府系金融機関である日本公庫は、民間金融機関との協調融資にも積極的です。協調融資とは日本公庫と地域金融機関である信用金庫・信用組合などが連携して、同じ取引先に対して一緒に融資を行うことです。必要な資金が多額の場合などに、協調融資を受ける人もいます。

また、創業融資で豊富な実績を持つ日本公庫から融資を受けていることが信用になり、他の金融機関から融資を受けやすくなることもあります。

日本公庫で融資を受ける際に押さえておきたいポイント

日本公庫の創業融資で押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。融資を受けない場合でも、創業する際の大事なポイントです。

創業分野での経験

日本公庫の創業融資では、創業する業種での経験が重視されます。経験がないと業界での常識を知らなかったり、提供できるサービスレベルが低くなったりして、かなり不利な状況で事業を進めることになります。創業するとうまくいくことばかりではありません。そうした状況にも対処することができる経験やノウハウを持っていることは重要です。

アイデアだけで融資を受けるのは難しいです。実際に私たちが関わり、融資が実行された方は創業分野での業務経験がある人ばかりです。日本公庫では「未経験の分野での成功はなかなか難しいので、FC加盟など経験不足を補う方策が必要です」と言及されています。

創業する業種での勤務年数だけでなく、店長の経験などのマネジメントに関わっていたということも評価のポイントになります。趣味や副業で経験を積んでいる場合でも「経験がある」とみなされる場合があります。

全く経験がない場合は、創業時ではなく、1年後などに実績を残してから融資を申請するのが良いでしょう。

自己資金

自己資金は事業に必要な資金のうち、自分で用意したお金です。日本公庫の創業融資では、自己資金要件は10分の1となっています。例えば、事業に必要な資金計画の合計額が1,000万円の場合、最低でも100万円は自己資金として用意する必要があります。自己資金が100万円あれば900万円の融資に申し込めるということになります。

しかし、10分の1というのはあくまで最低条件なので、実際に自己資金100万円で900万円の融資が受けられたという事例は見たことがありません。

以前の自己資金要件は3分の1でした。持っているお金の倍の額を融資してもらえるというイメージです。融資を希望する額にもよりますが、私たちが関わった事例でも自己資金と融資額のバランスはこれくらいが多い印象です。

自己資金については金額の多寡も重視されますが、どのように自己資金を蓄えてきたかという過程もポイントになります。毎月コツコツと貯蓄していれば、準備をしっかりしているという印象を持ってもらえます。日本公庫の『2021年度新規開業実態調査』では、平均調達額に占める自己資金の割合は23.9%となっています。

自己資金が少ないと感じている人は、今からコツコツ貯蓄するようにしましょう。

公共料金の支払い状況、クレジットカードの信用情報

日本公庫では融資申込の際に、公共料金や家賃の支払い状況が確認できる書類の提出を求められます。またクレジットカードやカードローン、携帯端末の分割支払いなどの信用情報も必ずチェックされます。毎月払わないといけないお金を払うことができる人なのか、借りたお金を返すことができる人なのかが確認されます。

事業内容や創業計画書が良いものであっても、これらに瑕疵(かし)があると融資が受けられないことがありますので、ご注意ください。

まとめ

融資を受けるためだけでなく、創業には「準備」が大切です。創業時の融資では、これまでに事業実績がない創業者に対して、判断をしなければなりません。

そのため日本公庫では「経験」「自己資金」という、創業までにどのような準備をしてきたかということを重視しているのだと思います。

  • 「経験」→創業する事業に対してどういった思いを持って行動し、経験を積んできたか。
  • 「自己資金」→創業に向けて、どれだけ計画的に貯蓄をして準備をしてきたか。

これらを問うことで、創業者の事業に対する思いや熱意を測り、事業を計画通りに、または計画以上のものにすることができる人なのかを審査しているのではないでしょうか。

創業するならコワーキングスペース

創業時に事務所を構えると、オフィス環境を整えるのに手間がかかり、仕事以外のことに時間やコストを費やす必要があります。コワーキングスペースやシェアオフィスを利用することで、すぐに仕事に取りかかることができます。

CASE Shinjukuは東京都の認定インキュベーション施設です。日本公庫と連携した「個別相談会」や東京都の「女性・若者・シニア創業サポート事業」による資金調達サポートを行っています。

また、創業時には悩みや困り事も多く出てくると思います。そんな時「身近に相談できる人がいる」ことがとても重要だと私たちは考えます。CASE Shinjukuのメンバーにはエンジニアやデザイナー、エンターテインメント業、編集者、漫画家などのクリエイターなどさまざまな業種の方がいらっしゃいます。自社サービスを展開する起業家も多く利用されています。そんなメンバーの皆さん同士が気軽に相談し合える環境があります。スタッフも駐在しておりますので、何かあればいつでも対応可能です。

JR山手線、東京メトロ東西線、西武新宿線「高田馬場駅」から徒歩1分のところにあります。24時間利用可能なシェアオフィス・個室オフィスでは、法人登記が可能で、事業規模に応じて選択できるワークスペースをご提供しています。

創業を目指す方、創業間もない方はぜひお気軽にお問い合わせください。

おわりに

日本公庫の創業融資について、メリットと押さえておきたいポイントを紹介しました。創業や融資の準備のご参考になりましたら幸いです。

『日本公庫の創業融資で「創業計画書」を書く際に押さえておきたいポイント』という記事も公開しています。併せてお読み頂ければと思います。

創業計画書は決して書くのが難しいものではありません。日本公庫の窓口相談や公共の創業相談などで、無料でアドバイスを受けることができます。ぜひご活用なさってみてください。

※詳しい融資制度や条件などは日本公庫ホームページをご参考ください。


この記事を書いた人

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竹内 雄基

いつも記事をご覧頂き、ありがとうございます!
みなさんがCASEで快適に過ごせるよう、お手伝いできればと思います。
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